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Astonishing Travels:ギリシャ

フィールドノート:ララ・クロフト。聖フランシス聖堂の地下に眠るものとは?

TR Astonishing Travels Greece

ノーラ・ベネット: 読者の皆さま、ようこそ。本号 『フィールドノート』Astonishing Travelsの定期座談会シリーズです。ここでは、少し肩の力を抜いて、憶測も加えながら語っていきます。今回はいささか、その憶測が大胆かもしれませんが。私はノーラ・ベネット、この小さな出版物の編集長です。今回は異説の専門家でおなじみのジュリアン・マーサーと一緒にお届けします。謎多きララ・クロフトをペルーのアンデス山脈まで追いかけた前回の巻頭特集は大好評だったので、さぞかしご満悦のことでしょう。

ジュリアン・マーサー: 出版社もかなり満足していたようですよ。

ノーラ: 私たちもです。あなたは見事に謎を嗅ぎつけ、点と点を ちょうどいい具合に線で結び、 読者の間に驚くほどの憶測を呼びました。しかも予想外なことに、読者間だけにとどまらずその枠を超えて広がりましたね。

ジュリアン: ララ・クロフトとジャクリーン・ナトラが同じ話に登場する?これはたまりませんよね。一方は、メディアが夢中になる存在。もう一方は、陰謀論を引き寄せる磁石ですから。

ノーラ: どちらがどちらなんですか?

ジュリアン: よく見れば、その違いに大差はありません。つまり私が言いたいのは、あの記事がいつもの読者層を超えてどこまで広がるか、もっと予測しておけばよかったということです。

ノーラ: 謙虚さはあなたには似合いませんよ、ジュリアン。

ジュリアン: まったく、窮屈でかないません。

ノーラ: 少しくらい自慢しても許されるはずです。ペルー号の初版は完売し購読者数も伸びたので、出版社は財布のひもを緩めてくれました。前回の記事を見逃した皆さまのために、使い古されたあの報道写真に代えて、新しいイラストの表紙を添えた第310号の限定復刻版を出版します。クロフトを追ってギリシャへと向かう本号も同様の装丁で仕上げました。どちらの表紙イラストも、クロフト・コミュニティの才能あるメンバーによるものです。オンラインでは「Illyne」という名前で活動しています。

ジュリアン: 言うまでもないですが、たとえララがこれまで Astonishing Travels の存在を知らなかったとしても、今なら彼女の目に留まっているはずです。最近、彼女はロンドンで目撃されており、節操のない一部の新聞は、ますます扇情的な説を並べて彼女を追い回しています。ララがビルカバンバで古代の終末儀式の一環でカルロスを生贄に捧げたとか、ナトラのために生物兵器を回収していたとか、まあいろいろです。見たところ、クロフトはいつも通り、氷のように動じない様子を保っているようですね。本人からも代理人からも、これらについてのコメントは一切出ていません。

ノーラ: つまり、ララは帰国したと?

ジュリアン: ええ。この追跡劇が何だったにせよ、いくつもの目的地を矢継ぎ早に巡っていたようです。私たちは今遅れを取り戻しているにすぎません。彼女がすでに終わらせた旅程を、あとから再構築しているだけなんです。

ノーラ: 古代の終末で世界が滅んだわけでもなければ、ナトラ・テックが奇跡的な新バイオテクノロジーを発表したわけでもありません。だから、その手の説はひとまず脇に置いてもいいと思いますが。

ジュリアン: 同感です。

ノーラ: 読者の皆さんは、新情報を心待ちにしています。でもギリシャに出発する前に、まずペルーの話を片付けておきましょう。

ジュリアン: 残念ながら、カルロスについては依然として音沙汰がありません。私たちはあのアンデスの村の座標を意図的に伏せていました。それは正しい判断だったと思います。探索マニアたちがカルロスを探すという名目で遠征に出て、危険な目に遭うことは避けたいですからね。

ノーラ: 彼がどこかのビーチでのんびりしていると信じたいところですけどね。

ジュリアン:念のため地元当局にも確認を取りました。彼らはこの件をあまり追及する気がないようでした。要するに彼らの立場は、「あの地形は危険だし、カルロスのルートは不明。山に足を踏み入れることを選ぶ者は、真相を知ることなく終わる」といった感じです。ずいぶん冷淡だと思いませんか?

ノーラ: 現実的な物の見方と言うこともできますけどね。

ジュリアン: 都合がいいとも言えますよ。口をつぐんだのは、当局だけではありません。村にいる私の情報提供者も、いくつか新しい詳細を明かした後、やはり沈黙してしまいました。記事を公開した途端、次々と扉が閉じていくこの状況が気に入りません。

ノーラ: 私もです。扉が閉じる前に何が分かったんですか?

ジュリアン: あの金髪の男が戻ってきたということです。

ノーラ: 戻ってきた?彼はナトラの飛行機で去ったと報じたはずですが。

ジュリアン: 確かに去りました。印刷の締め切りが迫っていたため、当時はララの追跡にすべての労力を注いでいました。改めて調べ直したところ、48時間も経たないうちに同じ飛行機が、彼を乗せて再びあの飛行場に戻ってきていたことが分かったんです。到着したのは彼だけではありません。ほぼ同じ時期に、複数の貨物チャーター便もあの飛行場を通過していました。

ノーラ: それを見逃していたと?

ジュリアン: 優先順位をつけていただけです。思い出してください。あそこは鉱山事業向けの産業用飛行場です。貨物が出入りすることに何の不審もありません。それが一気に興味深くなったのは、その貨物と、それに同行した請負業者たち、そしてあの金髪のアメリカ人がすべて一緒に移動していたと情報提供者から聞いたときです。

ノーラ: 村に戻った?

ジュリアン: 村を通り抜けて、さらに山を登っていきました。貨物の中には産業用の揚重機や発電機、そしてかなりの量の補強金属パネルとフレームが含まれていました。それも大型のもので、いくつかに分解して運ばれていたのです。

ノーラ: 何のために?

ジュリアン: 分かりません。ただ組み立てられた構造物のいくつかは、明らかに「檻」のように見えたと、情報提供者は感じたそうです。

ノーラ: 檻のように?

ジュリアン: 私の言葉ではなく、提供者の言葉です。そして、その後数日間は、その地域一帯でヘリコプターの活動が増えていたようなのです。

ノーラ: つまり、ナトラの部下がペルーを離れ、2日後に契約業者、貨物便、重機、組み立て式パネル、そしてヘリコプターの支援を伴って戻ってきたというわけですね。

ジュリアン: 残念ながら、それは私が得た最後の有用な情報でした。彼女はもう一度だけ連絡をくれましたが、それは「もう二度と話すつもりはない」とはっきり伝えるためのものでした。このタイミングを考えると、もっと潤沢な予算のある誰かが、彼女の沈黙を買い取ったのではないかと勘ぐってしまいます。

ノーラ: 地元当局についても同じことが言えると?

ジュリアン: その可能性を除外してしまうのは、お人好しすぎるでしょう。

ノーラ: 分かりました。ペルーでの現地調査はもう手詰まりですね。例の「衛星の友人」に頼んで、この一連の動きを追跡してもらうことはできなかったんですか?

ジュリアン: 無理です。あの頼み事は、あくまで一度きりのものでしたから。あんなに早く最後の切り札を切ってしまったことを悔やむ気持ちも多少はあります。でも現実的に言えば、あの情報がなければそもそもペルーの記事自体が成立していなかったでしょうから、文句は言えません。

ノーラ: ちょうどいい機会ですから、新しい読者の皆さんに、私たちへの連絡方法をお伝えしておきましょう。もし衛星技術にアクセスできる方がいらっしゃれば、ぜひご一報ください。

ジュリアン:思うほど突飛な話でもないかもしれませんよ。ペルー号が店頭に並んで以来、私たちのもとに大量のタレコミが押し寄せています。もちろん、そのほとんどはガセネタですが、中には驚くほど役に立つものもありました。そのひとつは、ララがペルーからギリシャへ向かう間に少しだけ立ち寄った、ある滞在地についての情報です。私自身、その場所はすでに把握していたものの説明がつかずにいました。サンフランシスコです。

ノーラ: その場所のことを知っていたのなら、なぜ前号に載せなかったんですか?

ジュリアン: 当時分かっていたのは、機体登録番号と、地上に数時間滞在したという事実だけ。彼女が何のために、どこへ向かったのか示す手がかりを掴んでいませんでした。

ノーラ: 前回その話をしなかったのは、今回の記事に話をつなげるためだったのでは?

ジュリアン: どちらとも本当ってことはありますよ、ノーラ。

ノーラ: 私は、モンスターを生み出してしまったようですね。

ジュリアン: 余談ですが、この記事がこれだけ注目を集めたことを考えると、ララは今後、自分の航空活動を隠す方法を見つけてくると、私は確信しています。今回は、紙媒体だったので時間を稼げたことが幸いしました。ペルー号が印刷に回された後も、私はクロフトの飛行機を追い続けていました。読者のもとに記事が届く頃には、私はすでに、彼女がサンフランシスコを経由してギリシャへ向かったことを把握していたんです。ただ、その立ち寄った場所に関する推論は持ち合わせていませんでした。それは後になってから見えてきたのです。

ノーラ: 彼女は、あなたに感謝すべきですね。おかげで、彼女のセキュリティの弱点が明らかになったわけですから。

ジュリアン: お礼の手紙が届くことは、あまり期待しないでおきます。

ノーラ: それで、サンフランシスコはこの話にどう関わってくるんですか?

ジュリアン: それに関しては、いまだにはっきりしていません。彼女は夜間に着陸し、滞在したのもほんの数時間でした。ただ、あのタレコミが役に立ったのは、彼女の居場所をSoMa(サウス・オブ・マーケット)地区に特定できた点です。

ノーラ: それのどこが興味深いんですか?

ジュリアン: そこは、ナトラ・テクノロジーズの本社から目と鼻の先だからです。

ノーラ: それ 興味深いですね。ナトラの本社にコメントを求めましたか?

ジュリアン: もちろんです。でも返答はありませんでした。おそらく、ジャクリーン・ナトラが世界征服を企てているとか、罪のないアマゾンのナマケモノを製薬目的で利用しているといった非難のメッセージが殺到しているせいでしょう。ナトラ・テクノロジーズは、私たちが彼らに当ててきたスポットライトを、あまり快く思っていないのではないかと思います。

ノーラ: まあ、無理もありませんね。

ジュリアン: ナトラがここ数週間、公の場に一切姿を見せていませんが、こういうことは前にもありました。ただこれが憶測に拍車をかけているのでしょう。

ノーラ: 行き詰まりではないけれど、手がかりはほぼ皆無ですね。ペルー、サンフランシスコ、ギリシャ。私はここで何かを見落としているんでしょうか?

ジュリアン: 私が見る限り、これらの土地を結びつける明確な文化的や歴史的な線はありません。共通点は「人」にあります。奇妙な顔ぶれが、繰り返し同じ場所に現れているんです。

ノーラ: それだけでは証拠不足です。

ジュリアン: まだあります。ララをギリシャまで追跡すること自体は、何の問題もありませんでした。困難を極めたのが、 ギリシャ国内で 彼女の動きを追うことです。彼女の飛行機は、アテネ中心部の外れにある小さな一般航空用飛行場で記録されており、そこで彼女を見かけたと少なくとも2人の人物が証言しています。そのうちの1人は、その目撃情報をソーシャルメディアにまで投稿していました。運のいいことに、その飛行場はその週、すでに望んでいない注目を集めていたため、警備員も利用客もかなり警戒心を強めていたんです。

ノーラ: それはなぜ…?

ジュリアン: その2日ほど前に、民間警備の請負業者と見られる大集団が通過しています。あそこは比較的小さな飛行場で、自家用機やフライトスクールなどに使われているため、その集団はかなり目立ちました。特に、彼らが降ろしていた機材の中にライフルケースなどの武器が確認されたんですから、なおさら目立ちますよね。空港の警備員はこの件を地元警察に照会しましたが、警察は驚くほど…というより、いささか早すぎるほど迅速に「そのグループの書類はすべて整っている」と皆を安心させました。それ以上の調査は行われませんでした。

ノーラ: 合法的に活動していたように聞こえますが?

ジュリアン: あるいは、誰かが書類上だけ「合法」に見せかけたのかもしれません。地元のメディアがこの苦情について報じていたので、その記者に連絡を取りました。記者はその後、当局が確認したとされる書類の入手を試みましたが、まったく進展がなかったそうです。私たちの情報を合わせても、誰がその集団を雇ったのか特定できませんでした。飛行場周辺で撮影された写真や、空港関係者から提供された静止画もあまり役に立ちませんでした。記章もなければ、会社を示すロゴもない。確実に身元を特定できる人物は、誰一人としていませんでした。それはそれで、良かったのかもしれませんが。

ノーラ:…怖気づいたということ、ジュリアン?

ジュリアン: 怖気づいたというか、慎重になったという程度ですよ、ご心配なく。でも、雇い主すら特定できないほど重武装したプロ集団の関心を引くことは避けたいですよね。もしこれらすべてがつながっているのだとしたら、というかすでにそう考えつつあるのですが、そもそも考古学の世界に、なぜそこまでの重武装が必要なのかという疑問は避けて通れません。

ノーラ: もっともな疑問ですね。指揮を執っていたのは誰のように見えましたか?

ジュリアン: そこがさらに興味深いところです。請負業者たち自身は、実に統率が取れたプロの集団でした。身なりも整い、連携も見事でした。しかし、ある地元の証言によれば、集団と一緒に移動していた人物で、明らかに異質な男が1人いたそうです。ごま塩頭に、ヤギひげ。おそらくフランス語の訛りがあったと言っていました。他の面々よりもずっと感情表現が豊かで、周囲から十分な敬意を払われていたことから、彼が依頼主か、少なくとも作戦を指揮する立場にあったのではないかと思われます。

ノーラ: 彼らはどこへ向かったんですか?

ジュリアン: 貨物を積み込み、車列を組んで北西へと向かいました。

ノーラ: ララが到着したのはいつですか?

ジュリアン: その24時間以内です。彼女は同じ飛行場に着陸しただけでなく、彼らと同じ北西へと向かいました。今回は単独で。案内人も同行者もいませんでした。そこで私は、あの車列に関する情報を丹念に集め始めました。道端での目撃情報、給油や物資補給のための立ち寄った場所など、裏を取れるものはすべて調べました。一つひとつの情報が、ルートの候補をさらに絞り込んでくれました。そこから、彼らが通ったと思われるルート上にあった面白い史跡を掘り下げていったんです。

ノーラ: …それで?

ジュリアン: ギリシャは遺跡に事欠きません。私は遺跡候補を約12か所ほどに絞り込み、まず明らかに違うものから除外していきました。つまり、主要な観光地やユネスコ世界遺産など、車列や武装した請負業者がすぐさま注目を集めてしまうような場所です。他にも、発掘作業や保存工事が進行中の場所は、同じくらい可能性が低いと判断して除外しました。そうして絞り込んでいくうちに、ある有力な候補が何度も浮かびあがってきたのです。聖フランシス聖堂です。

ノーラ: あのビザンティン様式の修道院?もう何十年も閉鎖されているはずですが。

ジュリアン: もう1世紀近く閉鎖されています。この遺跡自体は、名前から受ける印象よりもはるかに古い可能性がありますが、現代の記録で取り上げられているのは、現存する修道院の複合施設の部分です。一般人・学術関係者を問わず、立ち入りは長らく禁止されてきました。表向きの理由は、遺跡そのものと、その遺跡の下にある崖の部分が危険なほど不安定だからというものです。崩落は「差し迫っている」と言われ続けています。

ノーラ: 1世紀近くも「差し迫っている」?

ジュリアン: 「差し迫っている」という概念は、どうやら融通が利く言葉のようです。この数十年で崖の部分を安定させ、外部から近づくルートを安全にしようという試みは何度も行われてきました。実際にいくつかの工事が着手されましたが、崖の表面や進入路より先に進むことはほとんどありませんでした。

ノーラ: 誰も工事を完工させることはできなかった?

ジュリアン: ええ。何らかの理由で、崖が崩れるより先に、安定化を図る工事が決まって頓挫するんです。資金は消え、契約が打ち切られる。直近で本格的に行われた工事は、プロジェクトの初期段階で、作業員3人がそれぞれ違う事故に遭い、亡くなったので終了になりました。数年前には、あるコンテンツクリエイターが規制線と立入禁止の警告を無視して侵入し、崖の下で遺体となって発見された事件も有名です。それ以来、崖の安定化を図る工事は一切行われていません。

ノーラ: なんとも…怪しい話ですね。

ジュリアン: これほど古い遺跡は、 そもそも 危険なものですから。

ノーラ: 今回は、あなたが「ありふれた説明」の側に立つんですか、ジュリアン?

ジュリアン: とんでもない。ただ、崖というものは、それ自体が危険で人の命を奪う可能性があるということです。それは人類が始まってからずっと変わっていません。聖フランシス聖堂にたどり着くのが難しいのは、そもそも困難な場所に建てられたからです。孤立を求める宗教共同体が、利便性を優先するなんて聞かないでしょ。

ノーラ: つまりその場所自体は、たいして気にならないというんですね。

ジュリアン: 場所ですか?ええ、気にはなりません。ただ、調査や安定化を図る試みが、不自然なほど一貫して失敗し続けているという点は気になります。そちらの方が、私にとってはずっと興味深い。それに、いくつかの説もあります…

ノーラ: それを 待っていました。

ジュリアン: 私の主要な情報源のひとりは、本当に影響力を持つ人々というのは、官僚制度を利用して白昼堂々と考古学的遺跡を隠すことができると考えています。資金を打ち切ることもできれば、契約に異議を唱えることもできる。例えば、遺跡を無期限に立入禁止の対象にしておくことだってできるわけです。

ノーラ: その情報源というのは、「遺跡探索チーム」の一員なんですか?いや、「考古学アベンジャーズ」でしたっけ?なんと呼んでいました?

ジュリアン: もう一度、はっきり申し上げますが、私は「遺跡探索の組織的なネットワーク」が存在するなど、一度も言ったことはありません。私にはただ情報提供者たちがいるだけです。あなたが勝手にその結論に飛びつき、彼らを秘密結社にまで昇格させたんです。

ノーラ:でも、そのきっかけを作ったのはあなたですよ。

ジュリアン: 一本取られました。

ノーラ: 分かりました。仮に、そのような組織が 実在 するとして、クロフトはその一員なんでしょうか?

ジュリアン: それは、いささか疑わしいと思います。クロフトはこれまで一貫して単独行動を好むことを示してきたし、組織全般に対する嫌悪感も記録を見れば明らかです。

ノーラ: 確かに。では、この情報源に限って言えば、どのくらい信頼できるんですか?

ジュリアン: この人物の情報はこれまでの経験上、十分に信頼できると分かっているので、多少突飛な説であっても、私は真剣に受け止めています。悔しいのですが、個人的な素性についてはほとんど何も分かっていません。分かっているのは、まず間違いなく英語が母語ではないこと、そしてクロフトに対する関心の強さは私に匹敵することくらいです。

ノーラ: 出身については何か心当たりが?

ジュリアン: おそらく、フランス語圏の出身でしょう。やり取りの中に、いくつかの小さな言語的な手がかりがありました。

ノーラ: その情報源が、あの車列を率いていたフランス人男性だという可能性は?

ジュリアン: 世界にはフランス語を話す人が何億人もいるんですよ、ノーラ。

ノーラ: 前号で、偶然についてあなたは何と言っていましたっけ、ジュリアン?

ジュリアン: …同じことが何度も起これば、偶然という言葉では片付けられない。

ノーラ: 念のため言っただけです。

ジュリアン: 特定の遺跡が意図的に立入禁止になっているという彼らの説は、今回の調査よりも前からありました。だから、クロフトが関わっていると分かった時点で、何かしら意見があるだろうと期待して連絡を取りました。しかし今回に限っては、問い合わせに一切返答がありません。これは異例のことです。

ノーラ: また扉が閉じてしまったわけですね。

ジュリアン: まさにその通りです。

ノーラ: 分かりました。では、聖フランシス聖堂の話に戻りましょう。

ジュリアン: 聖堂に狙いを定めた後、私は地元警察の報告書を隅々まで調べ、あの車列のさらなる目撃情報がないかを探しました。すると代わりに、もっと興味深いものが見つかったんです。長距離バックパッカーの1人が、人里離れた尾根沿いの山道を歩いていると、修道院の方角から爆発音が聞こえたと報告していました。彼は周囲の丘の上に、複数のかすかな煙が立ち上るのも目撃していました。

ノーラ: 彼が報告したのはいつですか?

ジュリアン: 爆発の直後ではありません。彼はかなり人里離れた山道を歩いていたので、次の補給地点に着くまでにさらに2日かかりました。そこで報告書を提出し、それから数日後に警察が現地調査を行いました。

ノーラ: その調査で何か成果は?

ジュリアン: 地上での捜索は行われませんでした。遺跡の不安定さと立入制限を考慮し、不必要にリスクを冒す必要はないと判断したため、ドローンを飛ばしただけでした。遺跡の外観に新たな損傷は確認されなかったそうです。直近の人間の活動を示す痕跡があったのは、ある登り口付近にあった小さな簡易キャンプ場だけでした。捨てられた食品の包装やゴミなどですね。

ノーラ: 警察は誰がそのゴミを捨てたと?

ジュリアン: 不法侵入者です。

ノーラ: 規律の取れた軍事部隊を表す言葉とは思えませんね。

ジュリアン: 同感です。そのキャンプ場を誰が利用していたかなんて分かるわけがありません。重要なのは、直近で誰かがそこにいたという事実です。

ノーラ: では、爆発音については?

ジュリアン: 公式な発表では、そのバックパッカーが落石を爆発と勘違いしたと言っていました。

ノーラ: 音が1回だけなら落石で説明がつくかもしれませんが、彼は複数回音を聞いたと報告していたのでは?

ジュリアン: 確かに去りました。砂塵は遠くから見ると煙のように見えることもあるので、あの煙についても決定的な証拠とは言えません。とはいえ、その発表だけでは、複数回の音を聞いたことと複数の煙が目撃されたことに対する説明が不十分です。しかも警察が現地を調査した時点で、すでにかなりの日数が経っていましたからね。

ノーラ: 都合がいいですね。

ジュリアン: もっともらしい話です。そして、都合もいい。

ノーラ: つまり、ララ・クロフトと重武装の車列が同じ方向に向かっている。あなたは、彼らが通ったと思われるルート沿いに、立入制限のかかった史跡を特定した。そしてほぼ同時期に、目撃者がその史跡付近で複数の爆発らしきものを報告し、警察は直近に人間が活動した痕跡を発見したというわけですね。

ジュリアン: どうやらそのようです。そうなると当然、こういう疑問が浮かびます。もし聖フランシス聖堂が目的地だったのなら、なぜそこまで大量の人員を投入し、あれほど武装する必要があったのか?

ノーラ: 富や名声がクロフトの動機ではないことは、疑いようがありません。もっと何かあるはずです。聖フランシス聖堂とその周辺地域の歴史について詳しく説明してください。あなたには、もうひとつの推論があるんじゃないですか。

ジュリアン: 公式な現代の調査チームは、聖フランシス聖堂の内部を完全に調査したことがないため、私たちが知っていることのほとんどは、外部調査やドローン映像、遠方からの観察に基づくものです。技術者たちは崖の表面の一部と、目視できる進入経路については作業を行ってきましたが、内部についてはほとんど記録が残されていません。ただし、外側から見る限り、現存する複合施設は紛れもなくビザンティン様式です。特徴的な地形を利用して建てられた修道院というわけです。

ノーラ: 余談ですが、クロフトにとってビザンティン帝国の時代は、特に関心の高い分野なんですよね?数年前、彼女が20代前半の頃、父親の研究を引き継ごうとしてシリアに不法入国していたという話が明るみに出たことがありましたよね?

ジュリアン: その噂については、クロフト本人からも代理人からも、公式な回答はありませんでした。

ノーラ: 想定内ですね。

ジュリアン: 聖堂をさらに興味深いものにしているのは、ギリシャのビザンティン修道院は、決して歴史的背景と切り離されて建てられたわけではないという点です。この地域一帯では、ある文明が過去の文明の遺構上に建物を重ねていく例が数多く見られます。神殿が再利用され、古い基礎が新しい建物に組み込まれ、石材が別の用途に転用される。幾層にも重なる歴史。その可能性があるからこそ、学術関係者たちが内部への立ち入りを渇望してきたのです。

ノーラ: 読者向けに、要点だけをかいつまんで教えてください。

ジュリアン: 何千年にも及ぶギリシャ文明を、かいつまんで話すのですか?ずいぶん酷な要求ですね。

ノーラ: 私を驚かせてみてください。

ジュリアン: この一帯における最古級の主要な遺構は、青銅器時代のミケーネ文明にまでさかのぼります。それはのちにトロイアやアガメムノーンなど、ギリシャの英雄伝説とは切り離せない世界です。ミケーネの宮殿体制が崩壊すると、ギリシャは、一般的に「初期鉄器時代」と呼ばれる時代に入ります。集落は小規模になり社会は劇的に変化し、数世紀が経つ頃には文字によるギリシャ語の記録そのものが姿を消しました。

ノーラ: その後に続くのが、アルカイック期のギリシャですね。

ジュリアン: まさにその通りです。集落は成長し、都市国家が政治的また文化的な主要勢力として台頭し、ギリシャ人の共同体は地中海全域に広がっていきました。そして、大規模な宗教建築がますます存在感を増していったのです。

ノーラ: そこから、古典期ギリシャへとつながっていくわけですね。

ジュリアン: アテネが最も名を馳せた時代です。ペリクレス、ソクラテス、プラトン。パルテノン神殿。ギリシャ悲劇。アテネとスパルタによるペロポネソス戦争。これは、古代ギリシャ世界の中でも、最もよく記録が残されている時代のひとつです。

ノーラ: そして、アレクサンドロス大王が登場しますね。

ジュリアン: そう、アレクサンドロスです。彼の死は、いわゆる「ヘレニズム時代」の幕開けを告げるものでした。ギリシャの言語や芸術、宗教、建築が広まり、エジプトやアナトリア、シリア、ペルシャ、さらにその先の地域の文化へと融合していきました。この時代はまた、壮大な建造物、土木技術、大規模な演出、そして古い神話の新たな解釈に強い関心が向けられた時代でもありました。またこの時代は、壮大な建造物、土木技術、大規模な演出、そして古い神話の新たな解釈について人々は興味を抱きました。

ノーラ: それは、今回の件に関わってきそうな話ですね。

ジュリアン: ええ、非常に。その後、ローマの勢力が徐々にギリシャをのみ込んでいきます。文化的な面に関して言えば、アテネは依然としてギリシャの伝統を守っていましたが、ローマの支配によって、建築にはさらに新しい特徴を付け加えました。浴場、貯水槽、上下水道といった既存の伝統を拡張しつつ、見世物のための壮大な公共施設や円形闘技場を新たに加えていったのです。

ノーラ: 血なまぐさい類の見世物も含めてですか。

ジュリアン: まさにそうです。剣闘士の試合や「ウェナティオ」と呼ばれる演出された見世物です。クマやオオカミ、ライオン、ヒョウ、時にはワニのようなエキゾティックな輸入動物まで登場し人間と獰猛が戦いました。

ノーラ: そしてやがて、帝国はキリスト教化されていく。

ジュリアン: その通りです。古い神殿は放棄されたり、取り壊されたり、別の用途に転用されたり、その上に新たな建物を建てたりしました。ビザンティン時代までには、教会や修道院がギリシャを特徴づける存在になっていたんです。

ノーラ: そこで、話は聖フランシス聖堂に戻ってくるわけですね。

ジュリアン: 現在、目に見えて残っている修道院部分は、そのビザンティンの時代に属するものです。しかし、ギリシャの各地で見られるような建築パターンが当てはまるなら、ビザンティンの人々は、あの崖の上に建物を「最初」ではなく、「最後」に築いた人々だったのかもしれません。

ノーラ: つまり、外から見ればひとつの廃墟となった修道院にしか見えないものが、理論上は、その下にギリシャ史の複数の時代を内包している可能性があるというわけですね。

ジュリアン: まさにその通りです。

ノーラ: お見事です。驚くほど手短でしたね。

ジュリアン: これこそが、聖フランシス聖堂のような遺跡の魅力です。一見すれば、間違いなくビザンティン様式です。しかし、この地域が古い構造物の上に建物を重ねてきた歴史を踏まえると、こうした遺跡は何世紀にもわたって、占有され、拡張され、再解釈されてきた可能性があります。時代によっては、アテナ、アポロン、ポセイドン、アルテミス、ヘパイストスなど、実に多くの神々にまつわる神殿や記念碑が眠っているかもしれません。

ノーラ: この地域で、これほどの規模の発見に前例はあるんですか?それとも、私たちは単なる空想の世界に入りつつあるんでしょうか?

ジュリアン: エレウシスの例だけでも、懐疑論は和らげられるはずです。アテネからほど近い場所に、デメテルとペルセポネーに捧げられた巨大な聖域があり、そこは「エレウシスの秘儀」の本拠地でした。秘密の入信儀式で、参加者は内部で起きたことを明かすことは固く禁じられていたです。あの複合施設自体、何世紀にもわたって発展を遂げてきました。それほど重要なものが、アテネからこれほど近い場所に存在したのだとすれば、まだ何か途方もない発見があるという可能性を簡単には否定したくありません。

ノーラ: 聖フランシス聖堂が最後に使用されていたのはいつ頃だと考えられていますか?現存する記録から、その遺跡より以前の用途について何か分からないんでしょうか?

ジュリアン: 現存する記録によれば、西暦1270年頃まで、あの場所に修道共同体が存在していたとされていますが、修道院そのものがいつ設立されたのかを正確に示すものはなく、当時の日常生活については何も分かっていません。より興味深くなってくるのは、それよりも古い資料です。

ノーラ: ぜひ聞かせてください。

ジュリアン: 紀元前5世紀半ば頃の断片的な記録には、政治家、行政官、学者を含む影響力のあるアテネ人たちと、身元不明の外国人が、町の外で何か秘密の建設プロジェクトに関わっていたことが記されています。もちろん、どの記録も聖フランシス聖堂の名を挙げてはいませんし、何が建設されていたのかを明確に示すものもありません。

ノーラ: ようやく核心に近づいてきましたね。これは、ビルカバンバのギリシャ版というわけですか?

ジュリアン: 念のため言っておきますが、ビルカバンバ説には、学術界の一部からの支持もありましたからね。

ノーラ: ごく一部の、匿名の学術関係者ですけどね。

ジュリアン: ごもっとも。他にも情報があります。一連の記録には、この外国人を一種の 「黄金の異邦人」:どの都市国家にも属さないことで知られていながら、並外れた秩序と繁栄の時代を周囲の人々にもたらしたとされる人物です。現存する手がかりは散在しています。写本や後世の家族に関する記録が、コリントスやテーバイなどの地域で見つかっていますが、その記録をたどるとすべてが、アテネと何らかのつながりを持つ人々にたどり着くようです。この散らばり方が、秘密を守るための意図的な結果なのか、単に長い年月の中で複製が広まった結果なのか判断のしようがありません。

ノーラ: 「黄金」ですか。 これは、ミダス王への言及なんでしょうか?

ジュリアン: 実際、一部の記録はその人物をミダス王になぞらえています。おそらく、彼が行く先々で繁栄がもたらされたように見えたからでしょう。かといって、あのフリギアの王が本当に戻ってきたと信じているわけではありません。ただ、繰り返し使われるたとえ話がひとつの伝説になることもあるでしょう。

ノーラ: あるいは、そもそもすべてが政治的なプロパガンダだった可能性もありますね。

ジュリアン: そのとおりです。アテネの評価をおとしめるために、その功績を謎めいた部外者の手柄にすり替えるライバル都市は存在しました。しかし、これらの記録には、妙に生々しい実務的な詳細も含まれているんです。夜間に運ばれる石材、秘密厳守を誓わされる労働者たち、そして目的が一度も公にされることのなかった大規模の建設プロジェクト。

ノーラ: 興味深いです。

ジュリアン: さらに興味深いのは、その後に起きたとされる出来事です。当初このプロジェクトは壮大ではあるものの、アテネの技術力で十分に実現できる範囲の事業として始まったようです。ところが建設者たちは、その敷地の下や内部でより古い構造物に遭遇したが、それが何なのかが説明できなかったと記録されています。それ以降、工事はより複雑で秘密裏に、そしてより危険なものへと変わっていったようです。

ノーラ: どんな風に危険だったんですか?ついに、考古学がアクション映画に変わる瞬間がきましたか?

ジュリアン: あとは床から仕掛けが出てくれば、間違いなくアクション映画です。真面目な話をすると、現存する記述はあまりに曖昧で断定はできません。儀式用の建築なのか、防御用の仕掛けなのか、構造上の危険なのか、あるいは単に、語り継がれるたびに話が誇張されていっただけなのか。それらを見分けるだけの材料が揃っていないのです。

ノーラ: これらの記録は、既知の考古学的遺跡のいずれかと一致するんでしょうか?

ジュリアン: 決定的な形では一致しません。そして、これらの記録を聖フランシス聖堂に直接結びつけるものも何もありません。しかし聖堂は、私たちが推測できるわずかな条件を満たしています。アテネから十分に近く、アクセスが困難で、内部の記録がほとんど残っていない。それだけでは「一致した」とは言えませんが、候補として検討し続けるには十分です。

ノーラ: つまり、「黄金の異邦人」と聖堂を結びつける確かな証拠はないということですね。

ジュリアン: ありません。あるのは状況証拠と、無視できないほど多い未解決問題だけです。

ノーラ: なぜ誰かが、そこへの立入制限にそこまでこだわるのかという疑問もありますね。

ジュリアン: それが、まさに私の考えていることです。そうなると、私が非常に関心を寄せる疑問が残ります。もし聖フランシス聖堂に守るべき何かがあるとすれば、それはララ・クロフトの関心に値するものなのかというものです。

ノーラ: 答えよりも疑問の方が多いですね、ジュリアン。もし、この一連の話がすべて、「物語」だったとしたら?何度も語り継がれるうちに、人々がいつしか歴史だと勘違いしてしまった。実は古い言い伝えのようなものだったという可能性は?

ジュリアン: まあ、確かにその可能性を除外することはできません。でも、あなたが私をこの座談会に呼んだのは、常識にとらわれない答えにたどり着かせるためでしょう。むしろ、あえて外れた道をさまよわせたいはずです。

ノーラ: その外れた道の先に、思いがけない数の新規購読者が待っていたわけですからね。

ジュリアン: それでは、この謎の物語もいったんこの章を締めくくるとしましょう。

ノーラ: お願いします。請負業者たちは、到着した飛行場から出発したんですか?

ジュリアン: 一部の人はそうでした。

ノーラ: 一部?

ジュリアン: 入国した人数より出国した人数の方がはるかに少なかったんです。私の集計によれば、当初の集団のうち3分の1ほどが、同じ飛行場から出発しました。目撃者によれば、出発した者たちはひどく疲弊した様子だったそうです。

ノーラ: 残りの人たちは死んだと?

ジュリアン: 妙に刺激的な発言をしますね。私は「行方が分からない」と言ったんです。別のルートで出発した可能性もあれば、ギリシャに残っている可能性もある。あるいは、私の追跡能力が及ばない場所で新たな命令を受けたのかもしれません。ただ、聖堂で爆発があったという報告を踏まえると、死傷者が出た可能性を除外するのはいささか愚かでしょう。

ノーラ: だから、どこかためらっている感じがあったんですね。

ジュリアン: だって無理もないでしょう?誰かが亡くなったことを確認することさえできないんだから。ただ分かっていることは、この話に関わった人々が次々と記録から姿を消しているという事実です。カルロス。契約業者たち。突然、話をやめてしまう情報源。ここまでくると、もはや、単に遺物を手に入れたいとか、多少の歴史的栄誉が欲しいというだけで追い求めるような謎ではないのかもしれないと考えざるを得ません。

ノーラ: 確かに、何か別のものへと変わってしまったように見えますね。あのフランス人男性は出発する人の中にいましたか?リーダー格と思われる人物です。

ジュリアン: いませんでした。

ノーラ: そして、ララ・クロフトに並々ならぬ関心を持つあなたの長年の情報源、フランス語圏の人物かもしれないとあなたが考えているその人物も、ほぼ同じ時期に連絡が途絶えたんですよね?

ジュリアン: …ええ。

ノーラ: 考えさせられる話ですね。怖気づく気持ちも分かります。突飛な説をすべて取り除いても、世界を股にかけて冒険するララ・クロフト、公の場から姿を消したジャクリーン・ナトラ、身元不明の武装契約業者集団、まったく調査する気のない当局、立入制限のかかった史跡での爆発報告、そして2000年以上前から存在しいまだに納得のいく形で解明されていない謎が残ります。実に奇妙な偶然の寄せ集めであることは認めましょう。

ジュリアン: 繰り返しますが、怖気づいているわけではありません。適度に用心しているだけです。

ノーラ: 記録のために言っておきますが、今ジュリアンは、引きつり笑いとしか形容できない音を発しました。

ジュリアン: 失礼な。

ノーラ: この世界のことは、あなたが誰よりもよくご存じでしょう、ジュリアン。今回の件は、なぜこれまでとは違う感じるのでしょうか。

ジュリアン: 私はキャリアの大半を、陰謀論の世界で過ごしてきました。ほとんどの陰謀論は、ただのたわ言です。でも中には、一粒ほどの真実を含むものもあります。一方で、不都合な真実から目をそらすために、意図的に仕組まれた説もあります。そしてごくまれに、もう数歩手前で掘るのをやめておけばよかったと思うような説に出くわすこともあります。自分が今、追いかけているのがどの種類の話なのか見分けがつかなくなったときは、慎重になるべきだと学びました。

ノーラ: いつものキャラと違いますね。

ジュリアン: こうなるはずではなかったのですが。

ノーラ: 請負業者たちの話に戻りましょう。彼らの向かった先について、何か心当たりは?

ジュリアン: 彼らのチャーター便はエジプト行きでした。そしてクロフトもそれを追っていた。

ノーラ: その後、どうやら帰国したようですね。

ジュリアン: 最終的には帰国しました。彼女がどこに落ち着いたのかは分かっています。ただ、エジプトからどうやってロンドンに戻ったのかをたどるのは、かなり難しいことだと分かってきました。それこそが、私が次に掘り下げるテーマです。あわせて、ペルー、ギリシャ、エジプトを結びつける共通点が一体何なのか、というもっと大きな疑問も追っています。

ノーラ: エジプトが絡んでくると、単なる偶然の話として片付けるのは難しいですよ、分かっていますか?

ジュリアン: エジプトほど、人々の魅了と憶測をかき立ててきた土地は数えるほどしかありません。

ノーラ: この話が、これほどまでに状況証拠だけに留まっていることにかなりのいらだちを覚えます。

ジュリアン: 「かなり」ですか?

ノーラ: だって、自分の意思に反して、この先に何が起きたのか心底知りたくてたまらないからです。

ジュリアン: お役に立てて何よりです。

編集者注:それは私も同じです。クロフトのエジプト滞在中の足取りについて、目撃情報、写真、旅行記録、航空データなど、空白の時間を埋める信頼性の高い情報をお持ちの方はぜひご連絡ください。匿名での情報提供も歓迎します。この調査の続きは、Astonishing Travelsの今後の号で。

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